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検証審査・自己適合宣言について
ISO自己適合宣言のお勧め
自己適合宣言とは
自己適合宣言の国際規格は ISO/IEC17050:2004(JIS Q 17050:2005)として制定され、
適合性の保証と適合宣言に対する責任の所在が明確になりました。
ISO 14001:2015 環境マネジメントシステム規格では、『序文 0.5 この国際規格の内容』の中で、下記のように明記されています。
この国際規格は、適合を評価するために用いる要求事項を規定している。
組織は、次のいずれかの方法によって、この国際規格への適合を実証することができる。
― 自己決定し、自己宣言する。
― 適合について、組織に対して利害関係を持つ人、又はグループ、例えば顧客などによる確認を求める。
― 自己宣言について組織外部の人又はグループによる確認を求める。
― 外部機関による環境マネジメントシステムの認証・登録を求める。
●この規格の中で、「- 自己宣言について組織外部の人又はグループによる確認を求める。」が当協会における検証審査/自己適合宣言に該当します。これは、自分たちの力で活動を行い、第三者が公平な視点をもって公正・中立な検証審査を行います。
●ISO 適合の評価方法は上記4項目のどれを選択しても良いと ISO 規格の中で定めています。
●自助努力で国際マネジメントシステムを築き上げるため、経営に直結した成果が得られやすくなります。
自己適合宣言のQ&A
ISO検証審査/自己適合宣言に関わるJIS Q 17050-1:2005やJIS Q 17050-2:2005の規格の性格が順守中心から、自主管理・自己責任となり、比較的に新しいこともあって、未だ充分に社会的に認知されているとは言い難い。そこで、問答形式にして疑問に答えるような形で質問に対する回答例を示します。
Q1:自己適合宣言は、国際的に信頼がおけますか?
A1:国際的に信頼がおけます。
その理由は自己適合宣言(供給者適合宣言)がすでに国際標準規格ISO/IEC 17050-1:2004(JIS Q 17050-1:2005)で定められています。ただし、ISOマネジメントシステムの自己適合宣言には適切な適合性評価活動の結果(例:試験、測定、監査など)が伴います。そこで適合性評価方法の一つとして第一者(例:企業など)の組織外部による自己適合宣言/検証審査は有効といえます。
Q2:自己適合宣言は、今後国際的に増えるでしょうか?
A2:今後、国際的に増えていくと思います。
その理由はEU(欧州)では自己適合宣言の一つであるCEマーキングと相まってISOマネジメントシステムの自己適合宣言が普及浸透しています。 EU地域からISOマネジメントシステムの「自己適合宣言」が急速に広まっています。これはEU地域の国民性からか自ら責任を負う「自己責任」という認識が非常に強いです。
また経済活動の国際化、世界的な規制緩和の流れ、新製品開発の加速化に伴い、更なる適合性評価の迅速化および効率化が求められています。このニーズを満たす適合性評価手法の一つが第一者による自己適合宣言です。このため、実利的な自己適合宣言/検証審査が多くの企業から期待されています。
Q3:国内で自己適合宣言の事例はありますか?
A3:事例はあります。
NPO法人SDC検証審査協会は2007年4月に設立し、2021年で14年になります。当協会の所在地である静岡県西部地区を中心に自己適合宣言は普及してきました。現在は57社で81サイトとなっています(ISO9001:47 社、ISO14001:33社、ISO22000:1社)。自己適合宣言の第1号である沢根スプリング株式会社様は、2008年に認証機関から自己適合宣言に変更されました。当初はEMS(環境)の切り替えで、現在はQMS(品質)とEMSの統合で運営されています。経営に役立つ審査ということで、喜ばれています。
Q4:日本国内でも自己適合宣言は通用するでしょうか?
A4:日本国内でも大いに通用します。
その理由は前述(Q2&A2)でも述べたように、ISOの自己適合宣言は国際標準規格であり、日本国内ではJIS Q 17050-1:2005やJIS Q 17050-2:2005として定められています。日本での自己適合宣言は地方自治体で多くみられるものの、未だ社会的認知度は低いです。このため自己適合宣言を選択している企業はそう多くないが、費用も安く、経営に役立つため、今後ますます普及浸透していくと思われます。
また、最近では企業の不祥事や商品の偽装問題が多発しているため、消費者保護のため発行された苦情対応マネジメントシステムであるISO 10002:2004(JIS Q 10002:2005)「品質マネジメント-顧客満足―組織における苦情対応のための指針」を取得する企業が増えてきています。この取得にあたり「自己適合宣言」を選択している企業は多いです。今後、「自己適合宣言」の普及は時間の問題と思われます。
Q5:ISO9001:2015でも自己適合宣言は可能でしょうか?
A5:可能です。
その理由は下記のとおりです。第1の理由として、自己適合宣言としての国際規格はISO/IEC17050:2004(JIS Q 17050:2005)として制定され、適合性の保証と適合宣言に対する責任の所在が明確になりました。
第2の理由として、ISO9001:2015の規格では次のように示されています。
0.4 他のマネジメントシステム規格との関係 この規格はマネジメントシステムに関する規格間の一致性を向上させるため、国際標準化機構(ISO)が作成した枠組みを適用する。とあるが規格の中では自己適合宣言について明確にされていません。一方ISO9000:2015の品質マネジメントシステムの基本及び定義では次のように定義されています。
3.13.1 監査 内部監査は、第一者監査と呼ばれることもあり、マネジメントレビユー及びその他の内部目的のためにその組織自体又は代理人によって行われ、その組織の適合を宣言するための基礎となり得る。これらから言えることは、ISO14001:2015規格の適合の示し方と、ほぼ同様な表現がなされています。また2002年に制定されたISO19011:2002(品質及び環境マネジメントシステム監査のための指針)では別々に規定されていた「品質マネジメントシステム監査のための指針」と「環境マネジメントシステム監査のための指針」が統合され現在に至ります。以上の理由から、総合的に解釈するとISO9001:2015はISO14001:2015と同様に自己適合宣言が可能と判断されます。ただし、最終判断は顧客となります。
Q6:自己適合宣言が可能な規格は増えているのでしょうか?
A6:増えています。
例えば、食品関連ではISO22000:2018(食品安全マネジメントシステム)が2018年に発行されています。また労働関連でもISO45001:2018(労働安全衛生マネジメントシステム)は2018年に発行されました。自然災害やコロナ感染症対策のBCP関係ではISO22301:2019(事業継続マネジメントシステム)は2019年に発行されています。これらは、全て、自己適合宣言が可能です。このようにISO規格では自己宣言が可能な規格が年々増えています。
Q7:自己適合宣言による検証審査の場合、どのくらい安くなるのでしょうか?
A7:安くなります。
審査登録機関に比べ NPO 法人 SDC 検証審査協会だと約20%~30%は安くなります。企業の成熟度によってさらに安くなり、最終的には外部流出費用がゼロになります。
検証審査費用は企業規模や企業の成熟度等によって決められます。しかも NPO 法人 SDC 検証審査協会に依頼するので、検証審査内容や検証審査基準は一様であり、公正、公平です。
また、最終的には自社(第一者証明)による自己適合宣言ならば理論上、外部支払いを無くすことができます。これは自己適合宣言の外部審査で社内の実力を付け、自組織を倫理上の観点からきちんと管理、統制できれば、自社内部の審査も可能となります。但し、客観性の根拠として、当該規定要求事項に対する適合性の根拠や証拠並びに情報公開が課題とされています。
Q8:親会社は自己適合宣言をどのように判断するのでしょうか?
A8:現在のところ、親会社(発注者)の自己適合宣言に対する対応は様々で一概には言えません。
その理由は、現在世界的な規制緩和の流れにあって、経済的・合理的である「自己適合宣言」を認める親会社は増えつつあります。 従前のような形式だけのISO認証よりも、供給者側の品質・コスト・納期・環境管理物質対策などの実績をより重要視する傾向にあります。しかしながら顧客によっては相変わらずISO認証取得を第一義に考えISOを供給者の格付け評価として用いている企業もあり、その対応は様々です。
但し 2008 年 9 月のリーマン・ショックにより、日本の経済環境が大きく変化している昨今では、潮目が大きく変化し、「自己適合宣言」を認める大企業が増えてきています。
Q9:審査登録機関のISOの認証から自己適合宣言への切り替えは可能ですか?
A9:容易です。
前回審査で認証機関が行った審査報告書を提示していただき、自己適合宣言の移行審査を行えば切り替えはできます。当然ながら、品質や環境マニュアル等はそのまま引き継ぎます。
Q10:自己適合宣言の運用で経営効果が、本当に出てきますか?
A10:経営高価が出てきます。
その理由は人に言われてやるISOマネジメントシステムではなく、自ら進んで実施するほど、自分や組織(企業)にとって、これほど強いものはありません。 自己適合宣言は自ら課題を見つけ、自ら解決していく。このため組織が強くなり、そこで働く人のモチベーションが非常に高くなってくる。「自ら進んでやるISOマネジメントシステムが実現」できるため経営面に効果が出てくる。
なぜなら企業発展の源泉は「ジンザイ」の影響が大きいためです。通常「ジンザイ」は人材と書く。この人材とは、将来教育する価値がある人です。第2象限の「人在」は人の足は引っ張らないが、指示待ちの人間です。問題は第3象限の「人罪」です。これらの人たちは会議で人の足を引っ張る否定的な意見を毎回発言し、しかも自発的に行動しない評論家的な人間です。このような人間は少なからず、どの企業にもいます。 企業が望んでいるのはポジティブな考えを持ち、率先垂範する人たちである。これらは「人財」であり、まさに「企業は人なり」というではないか。
一方、中小企業では仕事確保のために、どうしても「お墨付き(認証)」にすがる傾向があります。これが自己適合宣言では認証よりも、さらに上位の適合表明方法のため、企業の品格が問われてきます。前述のとおり自己適合宣言では、自らの企業責任が課せられるため、前向きにISO活動していかないといけない雰囲気になります。つまり自然に「人財」を育てている状況なのです。 また、費用面でみても、自己適合宣言ではISOの審査登録機関に比べ費用が安いです。その浮いた資金を人材育成や設備投資にあてがうことができるため、経営効果が必ずでてきます。